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データ分析の活かし方。 その1(4/6)

リガーレ仙台の監督、雑賀雄太さんがデータ分析を活かしはじめ感激したこと・使用前に気づかなかったことに関して書いてくださりました。

データ分析の本質を少しずつ理解し始め、データをどのようにして活かしていけばよいのか少しずつではありますが試行錯誤しながら、データ活用を少しずつ実践できるようになってきたという実感が持てるようになりつつあります。

さてここからは、私の「試行錯誤」について書いていきたいと思います。

ただ「試行錯誤」とは書かせていただいたものの、実際のところは目前には大切な試合が差し迫っており、十分な準備期間もありませんでした。そして、そうした状況の中でまずは対戦相手のデータ分析に注力し、対戦相手に応じた戦術の立案と戦術遂行のために必要なトレーニングの計画と実践にデータ分析を活かしていこうと取り組むことにしました。

映像抽出から見えてくる相手チームの傾向

まずは「習うより慣れよ」の精神でバレーステーションのソフトを実際に操作しながら、どのようなデータが抽出して可視化できるのだろうかとあれこれ触ってみました。このプロセスを通じて、本当に様々な切り口からデータを抽出できるということは分かったのですが、いまいちそれらのデータをどのように活用すべきなのかが分かりませんでした。まさにデータ分析の仮説が明確になっていない状態だったと思います。そこでやはり映像をしっかりと観ることで自分なりの仮説を立てていくことをしようと試合映像を何度も観ました。しかし、一試合をまるまる通して何度観ても、そのチームの全体的な傾向は掴めるとしても、そこからどのように戦っていくべきなのかという戦術を具体的に立案するフェーズにはとてもいけそうにありませんでした。

そこで私が行った作業が、各ローテーション毎の映像抽出作業です。バレーボールには「ローテーション」という他のスポーツにはない特殊なルールが存在しており、このルールがバレーボールをバレーボールたらしめていると思います。この特殊ルールの存在によって、チームは必然的に6つのフォーメーションを必ず実装することとなります。

つまり、各ローテーション毎の映像を抽出し、1ローテーション毎に映像分析をするということは、相手チームが実装する6つのフォーメーションを一つずつ分けて分析するということです。この作業をするまで、私は各ローテーション毎に切り分けた映像を観るという経験をしたことがなかったので、ローテーション毎の映像を抽出してそれを観たときには感激しました。一試合をトータルで観ていても気づかなかったことや今まで観えていなかったものが観えてきたからです。そして、抽出した映像を繰り返して観ていくうちに、ローテーション毎の強みや弱み、攻撃の特徴、なぜそのシフトを採用しているのかといった部分が感じ取れるようになってきたのです。また、各ローテーション毎の映像を抽出する作業は、バレーステーションプロのソフトを使えば極めてシンプルかつ容易でした。私のようなズブの素人でも簡単に必要な映像を抽出することができました。フォーカスして抽出したいプレーを選択したり、抽出したい映像の範囲(時間)を指定できたりと痒いところにも手がとどくといった感じです。そして、インターフェイスも非常にシンプルで操作性も抜群ですぐに作業に慣れることができました。また1試合毎に映像を抽出するだけではなく複数の試合を選択してまとめて映像抽出することができるため、1試合だけでは見えてこなかった相手チームの傾向が見えてきたり、相手チームの変則的な攻守のパターンを知ることができました。