著者:Marysia Heppner (ポーランド男子バレー Trefl Gdansk ユースチームアナリスト) 、
Jakub Sauer (ポーランドバレーボールクラブ Szamotulanin Szamotuły ジュニアチームコーチ兼アナリスト)
レポートの読み方に関する記事はインターネット上にたくさんあります。しかし、A4用紙1枚のレポートに何が書かれているのか‥、それを正確に把握している人は少ないのではないでしょうか?
マッチレポートは、バレーボールの統計を行う際の基礎となります。代表戦などの国を代表した試合や、それぞれの国内でのリーグ戦など、いたるところでマッチレポートを目にします。
しかし、“マッチレポート”というものは、コーチやアナリストにとってどのように活用できる情報なのでしょうか?今日の記事で、その答えを見つけるヒントを探っていきましょう。
レポートの説明
マッチレポートには、ホームチームだけでは無く、アウェイチームの情報も含まれています。
選手の背番号の次に、スターティングラインナップが反映されます。ここでは、6人の先発選手がどのゾーンで試合を始めたかが記されています。白い四角はセッターです。空白のマスは、リベロと、メンバー交代で出場した選手です。
次は、それぞれの選手の得点数、得点バランス(得点と失点の比率)、そしてブレイクポイント(チームが自分達のサーブで得点した数)が表示されています。
そして、サーブに関する情報、サーブ打数、エラー数、得点数と続きます。レセプションに関する情報は、レセプション受数、エラー数、成功率、パーフェクトパスの割合が記載されています。
アタックに関しては、実行されたアタック打数、エラー数、被ブロック数、得点数)、そしてアタック決定率が表示されています。
赤で記した箇所は、各セットのチーム全体のブロックポイント数のデータです。
また、各セットのまとめとして、サーブ、レセプション、アタック、ブロックのデータに加え、相手チームのミスの本数も表示しています。
レポートの下部に記載されている数字からは、他にもたくさんの情報を読み取ることができます。各ローテーションにおけるポイントバランスや、レセプションアタックのデータ、そしてポジティブなレセプション後とネガティブなレセプション後の状況を区別しています。また、各チームが行ったアタックの回数とその効果も重要です。何回レセプションすればポイントが入るのか、何回サーブすればブレイクポイントが入るのか、この項目はバレーボールへの理解を深めたい方は必見です。
コーチは分析時にマッチレポートをどう活用するの?
コーチによる試合の分析は、“試合の洞察”、“相手チームの分析/自チームの分析”に分けて考える必要があります。
私たちは主にマッチレポートを使用し、レセプションやアタックなどの基本的な部分をチェックします。監督は個々の基本的な情報を把握することで、選手を交代したり、戦術を修正します。ユースカテゴリーの試合では、コーチが紙にマスを引いたり、印をつけたりする姿をよく見ます。ただし、試合の統計や数字は、あくまでも戦術を組むためのヒントです。決して神のお告げではありません。
コーチとしての私は、対戦相手や自分のゲームをより深く分析する際にマッチレポートを使うことは非常に稀です。戦術を考える際は、マッチレポートに含まれる情報の5%以下しか使っていないでしょう。バレーボールの統計プログラムには、スプレッドシートを用いて対戦相手を分析していく方法もあるので、それについても今後説明していきます。