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VolleyStationの挑戦と改革 – 大学や海外チームのスカウティングや分析の方法がどう変化しているのか

AVCAコンベンション (全米バレーボールコーチ協会主催で毎年12月に行われる大規模な会議) への参加は、我々VolleyStationにとって重要なイベントの一つです。私たちがこのイベントに参加したのは2018年でした。当時は観客として来場したのですが、現地でのコーチやセミナー、イベントの数と内容に衝撃を受けました。バレーボールの関係者たちがこんなに大勢集まることは世界中どこを探しても、きっとこの瞬間、この場所だけでしょう。

AVCA Convention Official Badge 2021, VolleyStation

それから3年が経過した2021年、VolleyStationはAVCAコンベンションのスポンサーとなりました。参加者達の名札に当社のロゴがプリントされているのを目にした時はとても誇らしい気持ちになりました。この3年間、本当に多くの事がありました。一体どうやって私たちはここに辿り着く事が出来たのか‥信じられない気持ちでしたが、あの場所に立つ事ができたのはきっと、私たちの製品が世界中のコーチに寄り添い、改良を重ねてきたからでしょう。この日はブライアン・ハーラー氏(アメリカ女子代表パフォーマンスアナリスト)と共に、「Connecting the Dots, 新しい概念の発見- 大学や海外チームのスカウティングや分析の方法がどう変化しているのか」と題した講演を行いました。AVCAのメンバーであれば、ここから音源を確認して頂けます。→ here

ブライアンはアメリカの大学バレーボールの経験がありますが、私はヨーロッパのシニアクラブとのつながりが強く、きっと彼とは異なる考えを持っていると予想していました。この機会に、対戦相手の分析に関してお互いの意見を交換し合いたいと思い、試合に向けてどのように相手を分析するかについて議論しました。一般的に、私たちは試合前に、2つのポイントについて熟考します。1つ目は、相手のサイドアウトをいかに減らすか、そしてもう1つは、相手のブロック・ディフェンスシステムの弱点は何かという事です。そこで今回は、「ディフェンス」と「オフェンス」の2つのパートに分けてレクチャーすることにしました。

まず、「誰が」「どこに」サーブを出すのかが重要です。そこで便利なのが、数字をチャートで可視化し、任意の数字から直接映像に移行できるVolleyStation Proの機能です。技術的な知識がなくても、このソフトで何をすればいいのか理解できます。数字の上で右クリックし、”ビデオを表示”を押すだけです。このたった2回のクリックだけで、ビデオからそのシーンを確認することができます。

Iwo Wagner and Brian Hurler at AVCA Convention 2021, Columbus, OH. VolleyStation

相手を研究する上で最も興味深いのは、セッターの傾向を見つけることです。パスが綺麗に返ったとき、ネットから少し離れたとき、またはアタックライン周辺に返ったとき、セッターはどのようなセット配分をしているのか。選手がスパイクをミスした後、どうするのか。誰かがゾーン1、つまりセッターの後ろにボールを返した場合どうなるか。ある特定のローテーションに傾向があるのか。追い込まれた状況ではどうするのか。私たちは、大抵このような状況を頭の中で想像しながら分析作業を行いますが、この疑問に対する答えは単純な数字に基づいて導き出す事ができます。VolleyStation Proでは、様々なフィルターを用いて、数字と分布図を組み合わせることができます。パスの質が低下したときにセッターの判断がどう変化するかを見るためにドロップダウン変更したり、セッターコールを変更したりします。

ディフェンスについては、相手のスパイクコースやアタッカーに対してのブロックシステムについてお話しました。実際にVolleyStation Proのスプレッドシートを使いながら、どのようにスパイクコースを見ることができるのか紹介しました。矢印の表示の他に、ヒートマップを使うとより視覚的なデータとなります。私にとって最も画期的な機能は、ヒートマップの上にドットを表示できることです。

VolleyStation, heatmap

このヒートマップは、プレイヤーがどこにアタックを打ったかを示し、ボールがどこからセットされたかをドットで表しています。ピンクの点は長距離のセット(セッターがゾーン2に行き、ボールを4にセットした)、水色の点はコート中央のネットから割れた場所からのセット(セッターがゾーン3/8からセットした)を表しています。長距離のセットはラインのスパイクに、ネットから割れた場所からのセットではクロスのスパイクに繋がりやすい事が一目瞭然です。このように可視化できるスプレッドシートは、私たちのより早い決断と、選手が情報を理解する事に役立ちます。ヒートマップの優れた機能は、まだまだたくさんあります。

Dig conversions, data analysis, VolleyStation

ここでもう一度、オフェンスに焦点をあてましょう。相手のブロックディフェンスの弱点を見つける方法を紹介します。ブライアンとは、ブロッカーの動きやチームのディフェンススタイルを見極めるには、ビデオを使って作業を行うべきだという意見で一致しました。

「得点を決めきれなかったとき、どこにボールを運ぶべきか」という質問があり、これについても我々のチャートをお見せしながらブライアンが答えてくれました。ディグが最も高い確率で返るエリアはどこか、トランジションで最もスパイクを打つ選手は誰か、をグラフにして視覚化したのです。VS PROでは、「AVCA Brian」というスプレッドシートを使って、自分で確認することができます。こちらのリンクからご確認ください。

https://drive.google.com/drive/u/0/folders/1kcW7uMHpST_W_UYJc4ac9W60hvQeHDwA

アメリカとヨーロッパの試合準備で異なるのは、セッターの傾向の分析における点ではないでしょうか。国際バレーボールでは、ローテーションが同じパターンであればグループ化する傾向があり、アメリカではコーチがローテーションごとに分解する傾向があります。(あくまでも傾向で全てのチームが当てはまるわけではありませんが‥)

大学のバレーボールは、国際的なルールや構造とは大きく異なります。15人の控え選手がいれば、国際試合では見られない多くの戦術的な可能性があります。多くのチームが6-2(ツーセッター)でプレーし、常に3人のアタッカーが前衛にいることで、国際的なバレーボールでは見ることがないような(一部の例外を除き)コンビネーションアタックを使っています。

Iwo Wagner, working remotely on VolleyStation

AVCAコンベンションに来ると、異なるバックグラウンドを持つ人たちとバレーボールの意見を交わす事ができます。これからもっと多くの方達とここで出会い、様々なアイディアに触れると同時に、皆さんにもぜひNCAA決勝大会を現地で見てほしいです。コンベンションと同時期に開催されるこの大会組織はとても素晴らしいですから。

2022年はネブラスカ州オマハで開催される予定です。バレーボールに情熱を注ぐ素晴らしい方達に再会する日を楽しみにしていますが、私たちVolleyStationはいつでも皆さまからのご意見をお待ちしていますので、日々色々な方達と議論を重ねながら歩みを進めて参ります。

イヴォ・ワグナー – VolleyStation営業責任者、プロアナリスト・スカウトマン、そしてバレーボールへの情熱家。元Grupa Azoty ZAKSA Kędzierzyn-Koźle (POL) 、そしてポーランド代表チームテクニカルコーディネーター